加算平均心電図〈signal-averaged electrogram;SAG〉

加算平均という手法は、従来から雑音を減少させ目的とする信号を明確に記録するためにさまざまな分野で用いられてきた。心筋内の電気的興奮の伝播遅延を反映していると考えられる心室遅延電位や心房遅延電位、ヒス束電位などについて研究が行われているが、そのうち心室遅延電位が最も注目されている。

心筋梗塞や心筋症などで障害が生じた心筋では伝導遅延が生じることがあり、局所の心腔内心電図では低電位の持続の長い電位が記録される。しかしながら、この電位は非常に小さいため、従来の心電計を用いて体表面からは記録できなかった。加算平均心電図法を用いると、数十から数百心拍の心電図を加算平均することで、QRS波の終末部に長く持続する低電位成分として心室遅延電位が記録できる。この心室遅延電位は、心筋梗塞や拡張型心筋症患者のうち心室頻拍を有する例で検出率が高く、健常人で記録されることはまれといわれている。そのため、心室頻拍誘発試験前のスクリーニングや突然死の予測などに有用であると考えられている。記録法としてはtime domain 法やfrequency domain 法があり、それぞれ陽性・陰性の判定基準について詳細な検討が行われている。