肺体血流比〈pulmonary blood flow/systemic blood flow ratio;Qp/Qs〉/肺体血管抵抗比〈pulmonary artery resistance/systemic artery resistance ratio;Rp/Rs〉

単位時間あたりに肺を循環する血液量(肺血流量または右心拍出量)と肺以外の全身を循環する血液量(体血流量または左心拍出量)の比、および肺と全身の血管抵抗の比(別にsystemicopulmonary resistance ratioと呼ぶこともある)のこと。肺体血流比(Qp/Qs)は通常、動静脈血の間に短絡(シャント)がなければ1である。この値は、実際の流量を測らなくても、血液採取によっても求められる。これは、動脈血と混合静脈血との酸素飽和度の差は肺胞から取り込まれた酸素量を示す(Fickの原理)ことを用いている。ここでは、Hbの酸素運搬能の理論値を1.36mLO2/gHbとしている。

肺体血流比計算式

のように計算される(正常値=1.0)。たとえば成人心室中隔欠損の場合、Qp/Qs<1.5では、臨床的に問題ないことが多く経過観察とするが、Qp/Qs>2.0では手術適応となる。1.5~2.0の場合は臨床症状や肺血管抵抗、肺体血管抵抗比などにより判断する。

一方、肺体血管抵抗比(Rp/Rs)は以下の方法で計算される。

肺体血管抵抗比計算式

ここで肺体動脈平均圧比は次のように計算される。

肺体動脈平均圧比計算式

肺体動脈収縮期圧比が70%以上のものは肺体血管抵抗比を計算し、これが60~90%のときは、手術危険率が高い。90%以上の場合、手術は不可能である。