Swan-Ganz(スワン・ガンツ)カテーテル〈Swan-Ganz catheter〉

1970年、カリフォルニア大学のSwanとGanz両教授により開発された、先端にバルーンが装備された肺動脈カテーテルである。現在その名は商標化され、一般には熱希釈(サーモダイリューション)カテーテルと総称されている。

バルーンの拡張と収縮が手元で遠隔的に操作できるよう、送気用ルーメンを内包する。これにより、経静脈的にバルーンを血流に乗せてガイドワイヤーを使用せずに先端を大静脈、右心、肺動脈の分枝部まで進めることができる。他に3本のルーメンを内包し、そのうち2本の開孔部は先端と先端から30cmの位置にある。体外のトランスデューサとつなぐことにより、同時に複数の部位の内圧を連続的にモニタすることが可能である。直接測定できる圧には、中心静脈圧(右心房平均圧)、右室圧、肺動脈圧、肺動脈楔入圧がある。もう1つのルーメンにはサーミスタ接続コードが内包され、サーミスタが装備された先端を肺動脈主幹部にもってくると、30cm手前の開孔部はちょうど右房付近にくる。この部位より冷却した生理食塩水などを一定量流した場合、冷水は右室で混和され、血液温の低下から、心拍出量を計測できる(熱希釈法)。ただし、短絡疾患、三尖弁閉鎖不全ではデータが信用できず、また不整脈ではデータがばらつく。他に、サーミスタを使用せず、色素を注入し先端から採血をする方法もある(色素希釈法)。サーミスタは中心体温のモニタにもなる。

このカテーテルは数日間の留置が可能で、急性心不全の回復過程のモニタにも有用である。また、各所における薬剤注入や血液採取も可能である。施行は容易であるが侵襲を伴うので、適応は慎重に決定すべきである。急性心筋梗塞で血行動態の変動が激しい場合、重篤な不安定狭心症で心拍出量低下、低血圧、心原性ショック、肺水腫を伴う場合、あるいは開胸術後補助循環からの離脱の時期決定、輸液量管理などにおいて有用性が高いといえる。