正常例における123I-BMIPPは、SPECTにおいてほぼ均等な心筋内分布を示す。急性心筋梗塞、特にPTCA未施行例では123I-BMIPPの欠損像の大きさが201Tlのそれと同等度の場合、ほとんど心筋壊死に陥っているものと考えられる。一方、PTCA施行例において123I-BMIPP、201Tl心筋SPECTを経時的に施行すると、早期には両者の欠損像には解離(perfusion/metabolism mismatch)(図)があり123I-BMIPPの欠損像のほうが201Tlのそれより大きく、時間経過とともに123I-BMIPPの欠損像は小さくなり201Tlのそれに近づく。したがって、PTCA(経皮的冠動脈形成術)施行直後に201Tl、123I-BMIPP心筋SPECTを施行して、両者の欠損像の解離の程度、および201Tl欠損像の拡がりをみることにより、個々の症例における心機能の回復状態を推定できる。また、stunned myocardium症例では123I-BMIPP欠損像かつ201Tl正常分布を示すことが多く、同部位の局所壁運動は低下している。陳旧性梗塞では201Tlと123I-BMIPPの欠損像が同程度で完全な壊死を示す場合のほか、123I-BMIPP欠損像が201Tl負荷時像における欠損像と同程度の場合や再分布像に比し大きめの場合が多い。このように、慢性期に123I-BMIPPと201Tlの両者の欠損像の解離を認める場合、hibernating myocardiumや重篤な虚血の存在が疑われる。