細胞内シグナル伝達を担うMAPキナーゼスーパーファミリーに属するセリン/スレオニンキナーゼの1つ。触媒サブユニットだけからなる単量体の酵素で、遺伝子は3種類同定されている。JNK1、JNK2はほとんどすべての組織で発現している一方、JNK3は脳、心臓、精巣に強く発現している。C末端のスプライシングにより分子量46kDaと54kDaの2種類の存在が知られている。c-Jun N末端の転写活性化ドメインに存在する63、73のセリン残基をリン酸化し、c-Junの転写活性を増強する。MAPキナーゼとはアミノ酸配列レベルで40~45%の相同性がみられる。紫外線、高浸透圧、熱刺激や蛋白合成阻害剤などのストレスに対する応答、もしくはIL-1、TNF-α(tumor necrosis factor-α、腫瘍壊死因子-α)などのサイトカイン刺激のシグナル伝達、さらにはT細胞受容体とCD28によるT細胞の活性化など多彩な系で活性化されることが明らかにされている。キナーゼサブドメインⅦとⅧの間に位置するThr-Pro-Tyr(TPY)配列のスレオニン残基とチロシン残基が、ともにリン酸化を受けて初めて活性化する。両者のリン酸化は、シグナル伝達の上流に位置するMAPキナーゼキナーゼ(MKK)4、MKK7により行われることが知られている(図)。