スカベンジャー受容体〈scavenger receptor〉/スカベンジャー受容体ファミリー〈scavenger receptor family〉

スカベンジャー受容体はマクロファージと一部の内皮細胞にのみ存在する広いリガンド認識を有する受容体で、この受容体を介してさまざまな異物や形成体がマクロファージとその関連細胞によって処理される。LDL受容体をほとんどもたないマクロファージにも変性LDLを認識しうる受容体が存在することから、1979年にその概念が提唱された。

スカベンジャー受容体はマクロファージ細胞膜表面に存在する200~250kDaの糖蛋白質で、約450個のアミノ酸からなるⅠ型と、約350個のアミノ酸からなりⅠ型よりもC末端領域の短いⅡ型が存在し、それぞれ3量体を形成している(図)。

スカベンジャー受容体の構造

スカベンジャー受容体を発現したマクロファージや血管平滑筋細胞は酸化LDLを取り込み泡沫化細胞となる。泡沫化した細胞が死滅することで細胞外に放出された脂質はやがて堆積し、動脈硬化巣における粥腫となる。このようにスカベンジャー受容体は動脈の粥状硬化の形成に促進的に働いており、今後、動脈硬化の治療、プラークの安定化などの観点からも重要視されている。