酸素パラドックス〈oxgen-paradox〉

元来、単離した灌流心において認められる。灌流液中の酸素を取り除いて十数分間灌流した後、再び酸素化した灌流液で灌流すると、再酸素化されたにもかかわらず心筋壊死をきたすという現象である。これは、心筋細胞が低酸素によってエネルギー代謝の低下した状態で高濃度の酸素分子の再導入を受けることによって、かえって細胞障害が増悪することを意味する。心筋細胞において過収縮帯が出現するとともに、CKやGOTなどの心筋逸脱酵素が心筋壊死に伴い遊出する。機序としては、筋鞘の透過性の亢進に伴って、細胞外液から大量のカルシウムイオン(Ca2+)が流入し、細胞障害を引き起こすことにより生じると考えられている。同じく灌流心において認められる現象である、カルシウムパラドックス(Ca-paradox)と併記されることが多い。カルシウムパラドックスは、灌流液中のCa2+をいったん0にして数分灌流した後再びCa2+を添加すると、心筋壊死をきたすという現象である。酸素パラドックスとカルシウムパラドックスは時間的な差があるものの、現象的・代謝的にはほぼ同一であり、双方とも再灌流障害時の心筋障害と類似の像を示すことから再灌流障害の原因の1つであると考えられている。

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