再灌流障害〈reperfusion injury〉

冠動脈閉塞が短時間であれば、冠血流再開により心筋細胞は不可逆的障害を残さずに回復するが、虚血が遷延し心筋細胞に不可逆的障害が生じた後に再灌流すると、心筋細胞の救済は得られず、かえって血流再開により心筋障害が増悪する。このような再灌流によりかえって増悪する心筋障害を再灌流障害と呼んでいる。臨床的には、心室頻拍などの心室性不整脈、心筋機能不全、心電図における異常Q波の早期出現およびST上昇などが認められる。病理組織では、虚血性障害が凝固壊死を特徴とするのに対して、再灌流障害では収縮帯壊死が認められる。

再灌流障害の機序としては、主にカルシウムイオン(Ca2+)の細胞内過剰負荷(Ca2+ overload)や活性酸素の関与が挙げられる。虚血中に生じた細胞膜の透過性亢進により、再灌流直後に心筋細胞内に過剰のCa2+流入が生じ、このため細胞内のホスフォリパーゼやプロテアーゼを活性化して、細胞内膜や細胞内蛋白を障害するとともに、ミトコンドリア内にリン酸カルシウムとして沈着し、呼吸能を障害する。特に収縮帯の形成にはCaの過剰負荷の関与が強い。一方、酸素分子が不対電子軌道をもつようになったものを活性酸素といい、他の分子よりも電子を得て電子対を形成しようとするため、生体内でも非常に反応性が強い。心筋虚血時にも活性酸素が増加するが、再灌流時にはさらに大量の活性酸素が蓄積する。生じた活性酸素は心筋細胞内のATPase蛋白や膜性微小器官のリン脂質と反応し、これらを変性させる。特に筋鞘や小胞体のリン脂質の過酸化は透過性の亢進を生じ、Ca2+の異常流入や小胞体からの遊出を引き起こす。この結果、Ca2+依存性の反応が起こり、細胞壊死へとつながる(図)。

再灌流障害

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