接着分子〈adhesion molecule〉

接着分子とは血管内皮細胞や白血球の細胞表面に発現し、これら細胞間の接触による相互作用に関与する蛋白質の総称であり、特に炎症部位などで認められる白血球の血管内皮下への遊走に、重要な役割を果たしている(図)。接着分子はその構造から免疫グロブリンスーパーファミリー、セレクチンファミリー、インテグリンファミリーに大別され、他にカドヘリンファミリー、CD44ファミリーも含まれる。免疫グロブリンスーパーファミリーにはVCAM-1(vascular cell adhesion molecule-1)、ICAM-1(intercellular adhesion molecule-1)、PECAM-1(platelet endothelial cellular adhesion molecule-1)などがあり、TNF-α(tumor necrosis factor-α)、IFN-γ(interferon-γ)、リポポリサッカライド(lipopolysaccharide;LPS)などの刺激によって血管内皮細胞に発現する。セレクチンは、活性化した血管内皮細胞に発現するE-セレクチンおよびP-セレクチンと、恒常的に白血球に発現するL-セレクチンの3種類が知られている。インテグリンはαおよびβサブユニットからなるヘトロダイマーの糖蛋白質であり、白血球に発現する他の多くの細胞に発現し、細胞接着のほか細胞外マトリックスとの相互作用により種々の細胞機能に関与する。

白血球と血管内皮細胞の段階的接着

L-セレクチンは、リンパ球、好中球、単球、好酸球、好塩基球上で存在が報告されている。リンパ球のリンパ節へのホーミングにおいて、接着分子として機能するが、現在ではE-セレクチンやP-セレクチンと同様、白血球と血管内皮細胞の接着の初期過程にも関与していると考えられている。ただしE-セレクチンやP-セレクチンは、炎症局所の血管内皮細胞側の分子で、白血球上の糖鎖に結合し機能を発揮する。セレクチンとリガンドの相互作用に続いて、走化性因子による白血球へのシグナル伝達が起こり、細胞接着分子インテグリンの接着能が高まる。白血球の接着分子を介した内皮下への遊走は、ローリング、内皮への強力な接着、内皮下への遊走という順序で段階的に起こる(図)。セレクチンとリガンドの接着反応の場合、接着力は弱いが接着が成立するまでの時間が短くてすむため、血管内など流れのある環境下で白血球を減速させるのに有効である(ローリング)。VCAM-1もTリンパ球、単球に発現するインテグリンVLA-4(α4β1)との接着によりローリングに作用する。次に活性化内皮細胞により分泌されるケモカインなどの刺激によって、白血球上のインテグリンLFA(lymphocyte function associated antige)(α1、β2)が活性化され、内皮細胞に発現したICAM-1と強固な接着を形成する。そして動脈硬化巣形成の初期病変である泡沫細胞の集族部位の内皮には、VCAM-1やPECAM-1の作用により白血球の内皮下への遊走が起こると考えられている。動脈硬化形成過程において血管内皮へのVCAM-1の発現を誘導する因子として、low shear stressや、酸化LDLの構成成分であるリゾフォスファチジルコリンなどが報告されている。

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