NO合成酵素(NO synthase;NOS)はL-アルギニンを基質としてNOを産生し、3つのアイソザイムが知られている。ecNOSはconstitutiveに発現し、生成されたNOは血管弛緩因子として働く。分子量135kDaの蛋白質で、ヒト遺伝子は、染色体7q35-36上に位置する。個々のNO合成酵素アイソザイムに共通の構造は、酵素C端ではFAD、FMNおよびNADPH結合部位をもつレダクターゼ領域から、また酵素N端ではプロトプロフィリンⅨヘム、テトラヒドロビオプテリンおよびL-アルギニン結合部位が存在するオキシゲナーゼ領域から構成されている。また、両領域に挟まれた酵素中間領域には、リン酸化部位およびカルモデュリン(CaM)結合部位が認められる。活性もCa/CaMに依存するなど機能的にはnNOSに類似している。
最近ecNOSは2つの脂質修飾(アシル化)反応を受けることが明らかになった。1つはミリストリル化、もう1つはパルミチル化の反応で、それにより膜への親和性が上昇する。アシル化・脱アシル化によって、細胞膜と細胞質の間の移行が行われているものと想像される。このようなアシル化を受けたecNOSは、細胞膜のカベオラ(caveolae)と呼ばれる特殊な部位に局在する。カベオラは、カベオリンとよばれるリン脂質に富む膜蛋白質から構成されている(図)。
ecNOS遺伝子のノックアウトマウスによると、その平均血圧は野生型より約20mmHg高く、また摘出血管のアセチルコリンによる内皮依存性弛緩反応は完全に欠如し、NOS阻害薬で影響を受けない。すなわちecNOSが基礎血圧の維持に関与していることが証明された。