iNOS〈inducible nitric oxide synthase、typeⅡ、誘導型(マクロファージ型)NO合成酵素〉

NO合成酵素(NO synthase;NOS)の3つのアイソザイムの1つ。iNOSは分子量130kDaの蛋白質で、個々のヒト遺伝子はそれぞれ染色体17 cen-q11.2上に位置する。

iNOSは、マクロファージをサイトカインや細菌の生成物などで処理することで誘導され(図)、生成したNOは生体防御の役割を果たす。iNOSもnNOSと同様にホモダイマーを形成するが、Ca2+やカルモデュリン(CaM)を加えないときでも完全な活性をもつ点でnNOSとは全く異なっている。これは、iNOSに対するカルモデュリンの結合が非常に強くさらにそのCa2+親和性が高いために、iNOSが常に活性化状態にあるためであると考えられている。

iNOS遺伝子の誘導

iNOSによって生成されるNOはnNOS、ecNOSと比べてはるかに大量であり、ヘム蛋白質(グアニル酸シクラーゼ、ヘモグロビン、ミオグロビン)のニトロ化をもたらす以外に、非ヘム蛋白質をもニトロ化する。たとえばFe・S含有酵素であるミトコンドリアのcomplexⅠやⅡ、TCAサイクルのアコニターゼ、DNA合成の律速酵素であるリボヌクレオチド還元酵素などである。これらの酵素はNOによってニトロ化されると活性が阻害され、その結果、細胞代謝や増殖の抑制効果がもたらされる。またNOはスーパーオキシド(O2・)と反応するとペルオキシニトライト(ONOO)と呼ばれるより毒性の強いラジカル分子を形成する。このように、マクロファージを代表とする細胞で誘導されたiNOSは過剰のNOを生成することにより、生体内に侵入した外敵(細菌、真菌、ウイルス、腫瘍細胞など)を阻止するという防御機能を担っている。

しかし、iNOSの発現が持続すると、過剰に生成されたNOは逆に生体にとって有害な作用をもたらす。たとえばNOのもつ著明な血管拡張作用による敗血症ショックや、サイトカイン投与時にみられる血圧低下である。これは血管内皮や平滑筋で誘導されたiNOSにより、NOが直接平滑筋に作用して著明な弛緩反応をもたらすからである。同時にNOのもつ細胞毒性作用によって臓器障害をもたらす。iNOS遺伝子のノックアウトマウスでは、エンドトキシンを投与しても血圧低下はみられない。

(参考:ecNOS

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