血管透過性の亢進や血管平滑筋の収縮作用などを有するブラジキニンを生成する系。血液凝固第Ⅻ因子の活性化に伴って生じる血漿カリクレイン分子が、高分子キニノーゲンに作用してブラジキニンを遊離させる系と、膵、腎などの種々の組織に見出される組織性カリクレインが高分子キニノーゲンや低分子キニノーゲンに作用して、リジルブラジキニンを遊離させる系がある。
ブラジキニンは9個のアミノ酸からなるペプチドで、オータコイドと呼ばれる局所ホルモンの1つである。作用は、血管拡張による血圧低下、内臓平滑筋の収縮、小腸上皮細胞からの塩化物イオンの分泌のほか、障害を受けたり炎症を生じている組織で、皮下の浮腫、知覚神経終末への痛み刺激を生じる。
血液凝固第Ⅻ因子は内因系血液凝固反応の活性化にも関与することから、カリクレイン-キニン系と凝固系は協調的に機能する生態防御反応と考えられている。
ブラジキニンの分解酵素であるキニナーゼⅡは、後にACE(アンジオテンシン変換酵素)と同一であることが明らかになった。アンジオテンシンⅡはその強力な血管収縮作用により昇圧に働き、ブラジキニンは血管拡張作用により降圧効果をもつ。
降圧薬として用いられているACE阻害薬はその副作用として空咳が有名であるが、これは、ACE阻害薬のもつブラジキニン分解抑制作用によって増加したブラジキニンによる肺胞刺激が原因と考えられている。