アルギニン・バゾプレッシン〈arginine vasopressin;AVP〉

バゾプレッシンは9個のアミノ酸よりなるペプチドで抗利尿作用をもつ。ヒトをはじめとする多くの哺乳動物では、8番目のアミノ酸がアルギニンからなるアルギニン・バゾプレッシンである。バゾプレッシンの前駆体は、視床下部視索上核および室傍核の大神経内分泌細胞において生合成され、神経分泌顆粒として軸策を輸送される間にプロセッシングをうけてバゾプレッシンとなる。その後下垂体後葉の神経終末に貯蔵され、浸透圧および非浸透圧刺激に応じて下垂体門脈系に分泌される。バゾプレッシンは主として、肝および腎で不活化され、一部が活性型のまま尿中に排泄される。

分泌刺激としては、生理的には浸透圧刺激が重要であり、脱水などによる血漿浸透圧の上昇によって分泌が促進されると腎臓に作用し、集合尿細管の水透過性を亢進させることによって尿を濃縮し水分の喪失を防ぐ。このホルモンの作用が障害され、尿の濃縮障害のために多尿となる病態が尿崩症であり、ホルモンの分泌そのものが障害されている中枢性尿崩症と、ホルモンの分泌は保たれているものの尿細管側の反応が障害されている腎性尿崩症がある。

下垂体後葉からのバゾプレッシンの分泌を調節する重要な因子としては、上記の血漿浸透圧のほかに循環血液量がある。これは、浸透圧に比して反応性が鈍く、循環血液量の10%以上の減少により分泌刺激される。循環血液量の減少によりバゾプレッシン濃度は著しく増加し、血漿浸透圧の変化による増加の10倍以上にも及ぶことがある。

その他、種々の内因性因子、薬剤、体位、呼吸などがバゾプレッシンの分泌に影響を与えると報告されているが、なかでも循環器系に関連が深いものとして、アンジオテンシンⅡ、プロスタグランジンE2などが分泌を促進し、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)などが抑制的に働く。

疾患との関連としては、慢性心不全患者においてバゾプレッシン血中濃度の上昇が報告されている。心不全患者では血漿浸透圧の変化があるが、それを補正しても有意に血中濃度が上昇していたとの報告があり、他の神経体液性因子と同様、心不全との関連が注目されている。

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