冠攣縮(スパスム)〈coronary spasm〉

冠攣縮とは、心臓表面を走行する太い冠動脈が何らかの原因で異常収縮することをいう。通常、夜間や早朝の安静時に冠攣縮が起こりやすく、冷水刺激などによっても引き起こされることがある。冠攣縮により冠動脈が完全に閉塞するか高度狭窄に至るため、心筋灌流領域に虚血を生じることから、狭心痛および心電図上のST上昇を認め、異型狭心症と呼ばれる。心電図変化は、心筋虚血の程度によりST低下を認める症例も多い。臨床的に冠攣縮を引き起こしやすい冠動脈であるかどうかを検討する方法には、現在エルゴノビン負荷試験とアセチルコリン負荷試験がある。エルゴノビン負荷試験は、アセチルコリン負荷試験に比べると危険性がやや高いことから、現在はアセチルコリン負荷試験を行う施設が多い。ただしアセチルコリン負荷試験は擬陽性が多いという報告も多く、セロトニン負荷試験などを提唱している施設もある。

冠攣縮の起こる機序はまだ明らかではないが、冠動脈内皮細胞障害および血管平滑筋の過収縮の関与が考えられている。内皮機能不全により内皮細胞から産生される血管拡張作用因子NOの産生が低下していることから、冠動脈が収縮しやすい状態になっていると考えられている。また最近冠攣縮と遺伝子多型との関連を報告するデータもある。

冠攣縮の発作時には、硝酸薬舌下療法などを行う。発症予防には硝酸薬およびCa拮抗薬を用いて管理する。冠攣縮狭心症自体は器質的虚血性心疾患に比べて生命予後が良好であり、狭心痛のコントロールが中心となる。しかし器質的冠動脈狭窄が進行する症例もあり、定期的な検査が必要であることを忘れてはならない。

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