レイノー現象とは、寒冷刺激や精神的ストレスなどの誘因により発作的に手指など四肢末梢が乏血状態となる現象をいう。典型例では指趾先端が蒼白となり、ついでチアノーゼにより紫色となり、最後に反応性充血により赤色を呈するという三相性の色調変化を示す。赤色変化は伴わない場合もある。一般にこれらの色調変化を視診あるいは問診により確認すれば、診断が可能である。サーモグラフィや指尖脈波などの検査も診断に役立つ。チアノーゼ出現にはしばしば冷感、しびれ、疼痛を伴い、一般に症状は一過性である。治療は手足の保温、加温が原則であり、末梢循環障害に対してはビタミンEやプロスタグランジン製剤、Ca拮抗薬が使用される。
2年以上レイノー現象が持続し、基礎疾患が認められない場合はレイノー病と診断する。一般にレイノー病は若い女性に多く、現象は両側性であり、潰瘍を形成することはまれで、予後は良好である。一方、基礎疾患が認められる場合はレイノー症候群と診断され、その予後および治療は基礎疾患による。基礎疾患としては、全身硬化症やsystemic lupus erythematosus(SLE)といった膠原病、閉塞性動脈疾患、神経疾患、中毒、外傷、内分泌障害、血液疾患などがある。また振動工具や塩化ビニールなどの薬剤を扱う職種の従事者にも、レイノー現象を認めることがある。