ERストレス〈endoplasmic reticulum stress〉

細胞内小器官である小胞体(endoplasmic reticulum;ER)では、蛋白質がリボゾームで合成され、直鎖状の蛋白質は折り畳まれて高次構造を形成する。蛋白合成の亢進、酸化ストレス、虚血、低酸素、遺伝子変異などのさまざまなストレスによって蛋白質が正しい高次構造をとれなくなり細胞内に蓄積する現象を小胞体ストレスという。小胞体はこのストレスに適応するメカニズムを有している。細胞膜上にある膜貫通型蛋白質(IRE1、ATF6、PERK)を介するシグナルによって、① 蛋白質の折り畳みに必要な遺伝子の転写効率を上げること、② 新規の蛋白質の合成を抑制すること、③ 異常構造蛋白を分解すること、の3つの方法で適応する。しかし、小胞体ストレスが過度な場合や遷延した場合、適応は破綻し小胞体はアポトーシスシグナルを発信し、自らの細胞を死滅させる。不全心筋細胞では、神経体液性因子などの分泌蛋白質の過剰な合成や酸化ストレスが生じているため、小胞体ストレスが誘導されていることが予想される。一方、マウス圧負荷心不全モデルにおいて、肥大心から不全心への進行の過程で小胞体発信アポトーシスシグナルの1つであるCHOPの発現増加が見出されており、心不全の進行に小胞体のアポトーシスへの関与が示唆されている。

ERストレスに対する適応と破綻

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