肺性心〈cor pulmonale〉

肺性心とは肺実質・肺血管病変あるいは肺機能障害により右心負荷が生じた結果、右心室に構造的・機能的障害が生じた病態をいう。通常は、左心不全や先天性心疾患に伴う二次的な右心不全とは区別される。肺性心はその発症形式により急性、亜急性、慢性に分類されるが、通常は慢性肺性心を意味する。原因疾患としては、肺気腫や慢性気管支炎などの慢性閉塞性肺疾患が最も多いが、わが国では肺結核後の肺性心も以前は多く認められた。急性肺性心の原因には肺塞栓症が、亜急性肺性心の原因には粟粒結核や血行性癌性播種が多い。

臨床症候は右心不全症状が主体である。労作時の息切れとして初発することが多いが、進行すると安静時にも呼吸困難を認める。そのほかチアノーゼ、浮腫、肝腫大、頸静脈怒張、胸痛などの症状を呈する。右心カテーテルにて肺動脈楔入圧の上昇を認めず(10mmHg以下)、かつ平均肺動脈圧が上昇しており(20mmHg以上)、右心負荷所見を認めれば確定診断できる。非侵襲的には心エコー図、心ドプラ法にて右心負荷、肺動脈圧上昇を認め、かつ左心不全や先天性心疾患を除外できれば診断できる。肺循環障害が不可逆性あるいは進行性であり、肺高血圧が著明であれば予後不良である。また肺感染症の合併も予後増悪因子となる。

治療は、基礎疾患に対する治療と右心不全の治療が中心となる。前者としては気管支拡張薬や去痰薬を主体とし、必要に応じてステロイド剤などの他剤を、また上気道感染には抗生物質を投与する。後者としては血管拡張薬や利尿薬、プロスタグランジン(PGI2)製剤投与を行う。また酸素吸入は肺血管抵抗および右心負荷を軽減させるため、治療としてきわめて有効であるが、CO2ナルコーシスに注意する必要がある。

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