アポトーシス〈apoptosis〉

細胞死は、ネクローシス(necrosis)とアポトーシスに大別できる。ネクローシスが有害な外的刺激より誘発される受動的な細胞死であるのに対して、アポトーシスは遺伝子的にプログラムされた能動的な細胞死である。アポトーシスでは、細胞の縮小、核クロマチンの凝縮、細胞の断片化(アポトーシス小体の形成)といった特徴的な形態的変化が認められる。アポトーシスでは、このような形態学的特徴に加えDNAのヌクレソーム単位での断片化がみられるため、電気泳動上のDNA ladder、あるいは組織切片上でのDNA断片化を検出するterminal deoxynucleotidyl transferase-mediated dUTP in situ nick end labeling法(TUNEL法)などによる検出法が多用されている。

アポトーシスの分子機構の第1段階は、アポトーシスシグナルの細胞への伝達である。具体的には、FasリガンドやTNF(tumor necrosis factor)、放射線、抗癌剤などさまざまなシグナルによりアポトーシスが誘導される。第2はシグナル伝達を受けて、アポトーシスプログラムが発現する過程である。ここではc-myc、bcl-2、p53などの癌関連遺伝子が重要な役割を果たしている。これらの遺伝子産物により、アポトーシス実行蛋白の出現・活性化、アポトーシス抑制蛋白の消失などが起こる。第3段階はアポトーシスの実行過程であり、核クロマチンの凝縮、細胞の断片化(アポトーシス小体の形成)といった形態学的変化やDNAの断片化が生じる。この段階では、カスペース(caspase)と呼ばれるシステインプロテアーゼが重要な役割を果たすことが明らかとなっている。カスペースは形態変化に関わるアクチンや核マトリックス蛋白を分解するほか、ICAD(inhibitor of CAD)を分解することによりCAD(caspatase activated DNase)を活性化させ、DNA切断を生じさせる。最終的に、生じたアポトーシス小体はマクロファージなどにより速やかに貪食される(図)。

アポトーシスの分子機構

アポトーシスは形態形成や生体防御など、生命維持に必須の役割を果たしている。したがって、その異常は癌、AIDS、自己免疫疾患など多くの疾患と関連する。循環器疾患においても、従来ネクローシスが関与すると考えられてきた心筋梗塞、心筋症、心筋炎の病態においてアポトーシスが関与することが報告されており、その役割の解明が進んでいる。

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