心筋 長さ・張力関係〈length-tension relation〉

筋細胞の発生する張力は、その張力の発生単位であるサルコメア長(sarcomere length)に依存することが知られており、生理的状態において最大張力を発生するサルコメア長(Lmax)より短くなるに従い発生張力は低下する。しかし、骨格筋や心筋といった筋組織の種類だけでなく、病態に応じてサルコメア長と発生張力の関係は異なる。骨格筋ではLmaxの80%長でも最大張力の80%を発生できるが、心筋では80%長のときには10%程度の張力しか発生できない。生理的状態では心筋サルコメア長のLmaxの100~85%の間で心室の拡張・収縮が行われているので、収縮力が保たれているが、循環血液量の減少などにより前負荷(拡張期サルコメア長)が減少したときには著しく心機能が低下することが、心筋の長さ・張力関係から理解できる。さらに心筋では収縮蛋白のCa感受性が長さ依存性に活性化(length-dependent activation)され、前負荷の増加によってサルコメア長が伸びたときに著しく張力が増すことが知られており、前負荷-心拍出量関係や左室エラスタンス(Emax)に関係する重要な因子の1つとなっている。