心周期〈cardiac cycle〉

心周期は機械的、電気的および弁事象の組み合わせとして捉えられる。血液は、心房から心室へ、さらに心室から動脈へと、各心腔間の圧較差によって規定される速度で流入する。正常では、弁には大きな抵抗はなく、流出する流れと、心房や心室筋系の収縮により生じるエネルギーによって作動された相対的な圧の作用により、弁が開放したり閉鎖したりする。

1心周期における血行動態

心周期は、収縮期と拡張期に区分される(図)。左室収縮期は、心室圧の早期上昇、および房室弁の閉鎖(A)から大動脈弁の閉鎖、および拡張期の開始に至るまで持続する。(B)から(C)に至る間に心室圧は大動脈圧よりも高くなり、大動脈弁が開放し、心室は動脈系に血液を駆出する。そして(C)の時点で大動脈弁が閉鎖する。拡張期は心室の弛緩と充満が起こる期間であり、大動脈弁の閉鎖とともに開始する。心室圧が心房圧以下に下降すると房室弁が開放し(D)、心室への充満が開始される。心室が再び収縮したとき、拡張期が終了し、心周期が開始する。心拍数が75/分では、収縮期は通常250~300msecである。そのため、心周期の約3分の2(500~550msec)は拡張期充満時相である。労作などにより心拍数が180/分にまで増加すると、全心周期は約330msecまで短縮する。このような頻拍下では拡張期が短縮し、そのため心室充満が制約されるので、心拍出量が制限される。右心系についても機械的、電気的および弁事象は類似しており、左心系との本質的な相違は低圧であるという点である。