心内圧〈intracardiac pressure〉/壁応力〈wall stress〉/左室拡張末(終)期圧〈left ventricular end-diastolic pressure;LVEDP〉

心内圧とは心室壁応力や心室内腔の圧であり、心臓や心筋細胞に直接影響を与える因子として心周期を通じたその推移は重要である。心周期は、容積変化の大小を加味して等容性収縮期、駆出期、等容性弛緩期、心室流入期の4つの時相に分けられる(図:1心周期における血行動態)。

1心周期における血行動態

それぞれの時相の心内圧は、心臓の収縮能、後負荷、前負荷の指標としての意味をもつ。つまり、拡張末期の心室壁応力や左室内圧は左室の前負荷を表し、特に左室拡張末期圧(LVEDP)は前負荷の代表的な指標である。また、収縮開始後の心室壁応力や左室内圧は、左室の後負荷を表している。等容性収縮期の心室内腔圧変化は、心臓の収縮能の指標として用いられる。これら心拍出量に大きな影響を与える因子は心内圧の測定によって得ることが可能であり、臨床的にも有用である。また、心室壁応力と左室内腔圧は密接に関係している。左室にLaplaceの定理を適応して最も単純な球モデルの公式を用いると、これら二者の関係は下記のようになる。

円周方向壁応力

壁応力は、圧、容積などとは異なり臨床的に直接測定することは難しいので、上記の式は臨床的に測定可能な因子から壁応力を推定するのに有用である。この式より、平均壁応力は左室内圧と左室内径に比例し壁厚とは逆比例することがわかる。

(参考:前負荷後負荷