成人の心臓では体積比で約75%、細胞数比で約30%を心筋細胞が占め、残りを血管平滑筋細胞や線維芽細胞などが占める。心室にある心筋細胞は、周期的に収縮と弛緩を繰り返し、心臓の主要な構成要素となっている。成人心室の心筋細胞は横径10~20μm、長さ20~150μmの類円柱状を呈し、数本までの短枝を出す。その本幹と分枝は筋鞘(sarcolemma)に包まれ、それぞれの末端は介在板(intercalated disk)を通じて隣接する細胞と連絡する。心筋細胞内には、収縮蛋白質が集合してできた筋原線維や、Ca移動に重要な役割を担う心筋小胞体、ミトコンドリアなどが含まれ、これらの構成要素が協調して、周期的な収縮と弛緩の繰り返しを可能にしている(図)。筋原線維は細胞容量の約40~50%を占め、ミトコンドリアがそのうち約25~33%を占めている。また、心房筋細胞には通常特殊顆粒がみられ、その中にはNa利尿因子を含む分泌顆粒も存在し、内分泌器官としての作用ももっている。