心筋収縮蛋白質〈contractile protein〉

筋原線維は心筋細胞の長軸に沿って並び周期的な横紋を示すが、その主要な構成要素であるアクチン・ミオシンを含めた、筋収縮に直接関与する蛋白質を筋収縮蛋白質という。筋原線維は組織学的に幅約1.5μmのA帯、その両端の明るいI帯、I帯の中央を区切るZ帯、A帯中央の偽H帯からなる(グラビア1)。

筋節(sarcomere)の構造

横紋の1周期、すなわち隣り合うZ帯の間は筋節と呼ばれる筋収縮の構造単位で、平行に並ぶ大小2種の筋フィラメントを主成分とする。これらの筋フィラメントは、主にミオシン分子とアクチン分子から構成されている。つまり、太いフィラメント(径10~15nm、長さ約1.5μm)は多数のミオシン分子から構成され、A帯の長軸に沿って並び、このときミオシン分子の頭に相当する部分は連結橋(crossbridge)となって細いフィラメントに向かい突出する。細いフィラメント(径5~8nm、長さ約1.0μm)は卵状のアクチン分子が二重の螺旋状に連なったものに、さらに調節蛋白であるトロポミオシンとトロポニン複合体(I、T、C)が結合した構造を示す(図)。

細いフィラメントの構造

細いフィラメントは、一端をZ帯に結合し他端は自由でA帯の中央に向かい、太いフィラメントの中へ細いフィラメントが入り込んだ部位では両者間に連結橋が形成される。連結橋は、アクチンとミオシンが相互作用する場であり、アデノシン三リン酸(ATP)の化学的エネルギーが張力発生という物理的なエネルギーへ変換される。連結橋の生化学的、物理的な特性については現在でも精力的な研究が進められ、1つのミオシン分子によって発生する張力や、1つのATP分解により移動するミオシン分子の距離なども測定されるようになってきた。また、家族性の肥大型心筋症ではミオシン分子に突然変異がみられることがあり、心筋の収縮特性の低下との関連も注目されている。