三尖弁輪収縮期移動距離〈TAPSE;tricuspid annular plane systolic excursion〉

右室の長軸方向の収縮機能を評価する方法の1つで、日常検査の右室収縮機能評価法として推奨されている(図)。

三尖弁輪収縮期移動距離

心尖部四腔断面からMモード法で測定可能である。右室形態は複雑であり、収縮による心臓の変位に影響を受けるため、過大または過小評価する可能性には注意が必要である。

再現性を向上させるには、右室に焦点を合わせた心尖部四腔像(RV focused apical four-chamber view)において計測することが重要である。左室心尖部と左室の中心を通る長軸像を描出し、かつ右室径が最大になる像を描出する。この断面で、右室自由壁の三尖弁輪にMモードのカーソルを合わせ、拡張末期から収縮期のピークまでの移動距離を計測する。

正常値は23±7mmで、17mm未満は右室収縮機能障害が示唆される。右室全体の機能を反映しないが、計測が簡便であることが利点である。ただし、三尖弁輪の術後では右室収縮を反映しない場合があり注意を要する。