ジピリダモール負荷〈dipyridamole stress〉/アデノシン負荷〈adenosine stress〉

虚血性心疾患の診断において、冠血管拡張によりcoronary stealを生じせしめ、心筋虚血を誘発する方法である。また虚血の出現がなくても、相対的に血流が増加していない領域に冠動脈狭窄があると判定することも多い。高齢者、脳血管障害および変形性関節症患者など運動負荷困難例に対して有用である。また、閉塞性動脈硬化症、腹部大動脈瘤などの動脈硬化性疾患は虚血性心疾患を合併する頻度が高く、その有無が予後に大きく関与する。これらの疾患においては運動負荷は困難で、ジピリダモール負荷が用いられる場合が多い。ジピリダモールはアデノシンの再吸収と輸送を阻害して細胞外アデノシン濃度を高め、冠血管拡張作用(対照の約4.5倍)をもたらす(図)。静注後2~4分でその作用はピークに達し、約30分間持続する。静注後、ときに低血圧が認められるので、通常は安静時臥位にて血圧および心電図の監視下に検査を施行する。負荷中に出現した胸痛発作に対して、拮抗薬であるアミノフィリンの静注が有効である。一般には201Tl心筋SPECTを併用することにより虚血の診断を行う。冠動脈病変の検出率については、運動負荷法と比べてsensitivity(感度)、specificity(特異度)ともに著明な差異がないとする報告が多い。

ジピリダモールによる冠血管拡張作用機序

気管支喘息、高度房室ブロックの患者に対する使用は、発作を誘発する可能性があるため避けるべきである。

ジピリダモールの代わりにアデノシンを静注してもよい。アデノシンの半減期はきわめて短時間であるため、注入を中止することでその作用は中断される。ジピリダモール投与を受けた患者へのアデノシン投与は完全房室ブロックや心停止を発現することがあり、併用禁忌である。