この十数年来用いられてきたタリウムは、物理的半減期が長く放出されるエネルギーが低いなど、その物理的特性に弱点があり、γ線の99mTc標識心筋血流製剤の開発が望まれていた。最近、表に示すような2つの新しい99mTc標識心筋血流製剤が本邦で使用可能となった。99mTc-sestamibi(MIBI)と99mTc-tetrofosmin(TF)である。投与量はともに約740MBq(20mCi)で、被曝線量は心筋で3~4mGy、全身で2mGy程度である。これら新しい99mTc標識心筋血流製剤の特徴は、まず99mTcは物理的半減期が短く、少ない被曝線量で大量に投与できるため、photon数が多く、鮮明な血流像が得られることである。また、放出されるγ線のエネルギーがガンマカメラに適しており、体内での吸収や散乱の影響が少なく、鮮明な血流像が得られる。したがって、画質の向上によって血流イメージの読影が容易になる。しかし、肝臓・胆のうの集積が高く、診断の妨げとなることがあるので、それらの臓器よりの排泄を待ち、撮像時間を1時間程度遅らせることが一般的である。また、得られるphoton数が多いため、ファーストパス法や心電図同期収集を併用でき、心筋血流とともに心機能の同時評価が可能である。一方、タリウムでみられる再分布現象がないため、虚血の判定には負荷時と安静時の2回投与が必要となる。投与時の血流情報をフリーズできるため、急性心筋梗塞例のインターベンション前後の血流評価や胸痛時の血流評価を行い、サルベージされた心筋の同定や虚血性心疾患の診断に応用することも可能である。