タリウム心筋シンチグラフィ〈thallium myocardial scintigraphy〉

最も頻繁に行われている心筋血流シンチグラフィは、201Tl心筋血流シンチグラフィである。201Tlは、1価の陽イオンでカリウムと同様の挙動を示す。静注後はそのときの血流に比例して速やかに血管外にしみだし、心筋細胞内にNa-Kポンプにより能動的に摂取される。したがって、その早期の分布は投与時の心筋の血流分布を反映する。また、壊死心筋には摂取されない。いったん心筋に摂取されたタリウムは、その後時間とともに心筋から洗い出されるが、その洗い出し速度が正常心筋、虚血心筋、梗塞心筋で異なり(図)、虚血領域は後期像にて再分布像として観察される。

201TI心筋内動態

臨床的意義として重要なものは、虚血性心疾患の診断である。特に自覚症状や負荷心電図などで虚血性心疾患が疑われたなら本検査を行い、最終診断法である冠動脈造影検査に進むかどうかを決める必要がある。心筋梗塞などすでに虚血性心疾患の診断が確定している場合は、異常領域が虚血心筋か梗塞心筋かの鑑別に役立つ。このような心筋生存性(viability)の判定により、積極的治療で機能回復が期待できるか否かを推定し、治療方針を決定する材料となる。