1948年、Pageらは凝固した血液の血清中に存在する血管収縮物質をセロトニンと名づけた。これは、やがて5-ヒドロキシトリプタミン(5-hydroxytryptamine;5-HT)であることが同定された。セロトニンは体内で広く分布しているが、主な貯蔵部位は胃腸粘膜にある腸クロム親和性細胞であり、全体の90%を占める。他の主要な貯蔵部位は脳、血小板、松果体である。セロトニンは血液脳関門を通過しないため、脳内セロトニンは末梢のセロトニンとは別に制御されている。よって血管平滑筋や血管内皮に作用するセロトニンは血小板由来であり、血小板凝集によって放出されたものと考えられている。
現在のところ、セロトニンは末梢血管において血管内皮細胞の5-HT1受容体を介した血管拡張作用と、血管平滑筋細胞の5-HT2受容体を介した血管収縮作用を有し、血管内皮が障害されると血管増殖作用も現れると考えられている。最近、5-HT2b受容体の選択的遮断薬であるケタンセリン(ketanserin)が降圧薬として海外で使用されており、血管の収縮・増殖におけるセロトニンの役割が再び注目されている。