左室瘤〈left ventricular aneurysm〉

心筋梗塞患者の5~35%にみられ、心筋梗塞合併症においては頻度が高い。前側壁梗塞に続発することが多い。左室瘤の定義は、病理学的には、心筋瘢痕化や菲薄化を伴う左室表面の限局的な瘤状突出で、内腔の突出を伴うものとされている。梗塞心筋の菲薄脆弱化により突出する真性瘤と、心室壁の破裂と周囲組織の癒着によって生じた仮性瘤とがある。真性瘤では限局性の膨瘤を認め、その開口部は広く、収縮期はもちろん拡張期にも瘤の突出がみられる。診断は胸部X線における左第4弓の突出、左室造影や心エコーによる左室壁運動異常、心電図上QSパターン部位での2週間以上続くSTの1mm以上の上昇でなされる。

左室瘤の存在は、心不全、不整脈、左室内血栓および塞栓の原因となる。内科的な治療に抵抗性の難治性心不全、抗不整脈薬でコントロールできない心室頻拍や心室細動などの重症不整脈の合併、塞栓症を頻回に起こす左室瘤内の血栓などを生じる場合は外科的治療を考慮する。左室内血栓の治療に関しては明確なガイドラインはないが、急性前壁梗塞の患者にはヘパリン投与を行い、その後ワルファリンで1~3ヵ月の抗凝固療法を行うことが勧められている。一方、仮性瘤は心室壁の破裂により漏れ出た血液が、心外膜により囲まれた腔に貯留したものである。心エコーや左室造影などで観察すると、瘤の径に比し入口部が小さいことが特徴である。仮性瘤の壁は心外膜で形成されていることが、組織的な特徴である。真性左室瘤に比し破裂の危険が高いため、手術適応となる。

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