カルシニューリン〈calcineurin〉

カルシニューリンは、Ca/カルモデュリン(CaM)依存性ホスフォジエステラーゼの阻害蛋白質として分離された。脳に多量に存在することから、カルシニューリンと命名された。その後、骨格筋から発見されたCa/CaMで活性化されるセリン/スレオニンフォスファターゼ2Bとアミノ酸配列に相同性が認められ、同時にカルシニューリンもCa/CaMで活性化される脱リン酸化活性を有することが明らかとなった。カルシニューリンは脳以外の組織、血液細胞や心臓でもその発現が確認され、作用が注目されている。

カルシニューリンの機能解析は、強力な免疫抑制剤であるシクロスポリンA、FK506がカルシニューリンの阻害薬であると証明されたことにより、大きな進歩を遂げた。T細胞のT細胞レセプターが異種抗原を認識すると、ホスフォリパーゼCなどが活性化される。ホスフォリパーゼCが活性化された結果、細胞内Ca2+濃度が上昇し、カルシニューリンがCa/CaM依存性に活性化される。活性化カルシニューリンはT細胞特異的細胞質成分NFAT(nuclear factor of acrivated T cell)と結合し、これらを脱リン酸化することにより核内に移行させる。核内に移行したNFATはIL-2の転写を活性化する。シクロスポリンAとFK506は、イムノフィリンと総称されるそれぞれの細胞内受容体蛋白質に結合し、これらの複合体がさらにカルシニューリンに結合した結果、NFATが脱リン酸化できなくなり、IL-2などの発現抑制が起こる。

心臓において、さまざまな肥大因子、たとえばエンドセリン、フェニレフリン、アンジオテンシンⅡなどが、最終的には細胞内Ca2+を上昇させること、一方前述のようにカルシニューリンがCa/CaM依存性に活性化され、NFAT3を脱リン酸化する。脱リン酸化NFATは核内に移行して、GATA4と結合し、心肥大のマーカーとして知られているBNP(脳性Na利尿ペプチド)などの転写を亢進させ、心肥大に導く(図)。MLC-2Vの変異体やβ-topomyosin過剰発現による心肥大モデルの心肥大がカルシニューリン阻害薬であるシクロスポリンAで抑制されたことより、心肥大におけるカルシニューリンは大きな注目を浴びている。

カルシニューリン活性化による心肥大形成経路

製品情報一覧

  • ア行
  • カ行
  • サ行
  • タ行
  • ナ行
  • ハ行
  • マ行
  • ヤ行
  • ラ行
  • ワ行
  • やさしい心電図の見方
  • 心臓・血管病アトラス
  • 経皮吸収型製剤使用マニュアル
  • ビソノテープQ&A