トロンビン〈thrombin〉

トロンビンはプロトロンビン(第Ⅱ因子)が、カルシウムイオンと補助因子としての第Ⅴ因子の存在下に、活性化第Ⅹ因子(第Ⅹa因子)により限定分解を受けて生成されるセリンプロテアーゼで、基本的な生化学的機能はペプチド結合を加水分解することである。トロンビンは、① フィブリノーゲンからフィブリンの形成、② 第Ⅷ因子や第Ⅴ因子の活性化を介した血液凝固反応の増幅、③ PAR(protease-activated receptor、トロンビン受容体)の活性化を介した血小板の活性化、④ 凝固制御反応(プロテインC凝固制御系)の活性化など多くの生理機能を有し、血液凝固系において中心的な役割を担っている。

生理的な止血機構では、血管傷害部位の組織因子と循環血中の活性化第Ⅶ因子が結合し、この複合体が細胞膜上の第Ⅹ因子を活性化する。第Ⅹa因子は上記のようにトロンビンを生成させるが、生成されたトロンビンは少量で、直接的な①を介するフィブリンの生成は限定的である。実際には②③の機序を介して、凝固因子活性化の大幅な増幅が行われ、その結果、局所に大量のトロンビンが動員され(トロンビンバースト)、大量のフィブリン生成につながる。

プロテインCもビタミンK依存性に生成される蛋白で、トロンビンと血管内皮上のトロンボモジュリンの複合体によって活性化される。プロテインCは活性化第Ⅴ因子と活性化第Ⅷ因子を不活性化し、結果としてトロンビンの生成を阻害することで血液凝固阻止因子として働く。

以上のようにトロンビンは、①②③のように凝固、止血反応を活性化するとともに、④のようにネガティブフィードバック機構により、自身の活性化を抑制する機能ももつ。

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