ACHD〈adult congenital heart disease,成人先天性心疾患〉

生まれつき心臓や大血管の構造異常〔先天性心疾患(CHD)〕を有し、構造異常に対する治療介入の有無にかかわらず成人期を迎えた状態である。外科治療の向上や肺高血圧などの内科的治療の進歩により、CHDを有して生まれた子供の約90%が成人期を迎え、ACHD患者数は年々増加している。

ACHDの重症度は、構造異常の複雑性や修復術の状況、遺残症の程度などに基づき軽症/単純、中等度、重度/複雑に分類される。複雑CHD術後や未修復チアノーゼ性CHDを含む中等症以上の患者の割合もACHD患者全体の約1/3を占めるようになっている。

オランダにおけるレジストリ研究において、軽症/単純疾患においては一般人口と同程度の生存期間が報告されているのに対し、中等症疾患、重症疾患の生存期間の中央値はそれぞれ75.4歳、53.3歳であり一般人口に比べ予後不良である。

ACHD症例の死因では、心不全が最多であり、次いで肺炎、突然死が報告されている。また、成人期以降、弁機能不全や遺残症の進行などにより外科的治療介入やカテーテル治療を要することも少なくない。さまざまな術後の遺残症、続発症の経過観察とともに、後期合併症としての心不全や不整脈、全身の多臓器障害の長期的な管理が必要である。

長年、ACHD患者の診療は小児循環器医により成人期も継続されていたが、生涯にわたる継続的なサポート体制の構築を目指し、小児診療体制から成人診療体制への移行が推進されている。