僧帽弁狭窄[症]〈mitral stenosis;MS〉

拡張期に左房-左室間圧較差を生じる状態を僧帽弁狭窄症という。原因は先天性、後天性に分けられるが、日常臨床で遭遇するのは大部分がリウマチ性によるものである。正常の僧帽弁口面積は約4c㎡であるが、1.0c㎡以下は高度、1.0~1.4c㎡は中等度、1.4~2.5c㎡は軽度とされる。重症となるにしたがって、左房圧が上昇し肺静脈および肺毛細管圧が上昇して、肺うっ血を生じる。また、聴診ではⅠ音の亢進が特徴的であり、心雑音としては拡張期のランブル(開放音に続く低音)を心尖部を中心に聴取する。診断には、心臓超音波法が有用である。心房細動の合併例では心房内に血栓を形成することがあるが、これには経食道超音波法を用いることによって、より高い検出が可能である。観血的検査法として心臓カテーテル法がある。左心室内から得られた圧波形と肺動脈楔入圧もしくは左房内での拡張期平均圧較差が存在すれば、僧帽弁狭窄症の直接証明となる。また心拍出量から求めた拡張期僧帽弁血流量より、僧帽弁口面積が計算できる。しかし、本法を行う重要な目的は、外科的手術を前提とした他の弁膜症の合併の有無や冠動脈の状態を知ることにある。

自覚症状は、左心不全兆候としての労作時呼吸困難が初発であるが、疾患の進行に伴い発作性夜間呼吸困難などを呈する。二次性の肺高血圧症を生じると右心不全の症状が出現する。本症の発症はリウマチ熱罹患後、通常10~20年後に発症する。症状が出現すると、狭窄の改善がみられなければ疾患の進行は速やかである。直接死因となるのは心不全死の他に多臓器への塞栓である。

治療としては、リウマチ熱の再発予防にペニシリンを用いることがあるが、内科治療の主体は心不全・頻脈性心房細動のコントロールと、血栓塞栓症に対する抗凝固療法である。直接的な僧帽弁口狭窄の解除には外科的な手法とカテーテルを用いた経皮的な弁形成術がある。

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