原発性心臓腫瘍の発生頻度は全剖検例の0.001~0.28%とまれな疾患である。そのうち75%は良性腫瘍であり、約半数を粘液腫が占める。残りの25%が悪性腫瘍であり、その大部分が肉腫である。最も多い血管肉腫は、ほとんどが右房より発生し右心不全や血性心膜液貯留を認める。そのほか、横紋筋肉腫、線維肉腫などの頻度が高い。心膜の原発性悪性腫瘍としては悪性中皮腫が最も多く、その他では線維肉腫、リンパ肉腫などがある。血性心膜液貯留により急性あるいは慢性の心タンポナーデをきたす。転移性腫瘍に関しては、すべての悪性腫瘍が心臓に転移しうるが、悪性黒色腫によるものが最も多く、その他では肺癌、乳癌、白血病、腎癌などが多い。いずれの腫瘍も心エコー、CT、MRIなどの画像診断が有用である。治療は可能であれば手術による切除となるが、不可能な場合が多く、心タンポナーデをきたした症例に対しては心膜腔穿刺による心膜液コントロールなど姑息的治療が中心となる。