深部静脈血栓症〈deep vein thrombosis;DVT〉

欧米ほど高頻度ではないが、日本でも増加傾向にある。男性よりも女性にやや多く、40歳代後半から50歳代に起きやすい。最近では長時間の飛行機搭乗によるlong flight syndrome(エコノミークラス症候群)としても注目を集めている。下腿静脈、大腿静脈、骨盤内深在静脈などの深部静脈に血栓を形成し、静脈還流不全により浮腫を生じる。浮腫が高度な場合には、組織圧増大に伴う疼痛を生じることもある。形成された血栓により肺塞栓症を生じる可能性もある。原因としては静脈うっ血[外科手術(特に整形外科領域、腹部外科手術)、悪性腫瘍、外傷、妊娠、長期臥床、長時間の座位(long flight syndrome)]、血液凝固異常(アンチトロンビンⅢ欠損症、プロテインC欠損症、プロテインS欠損症、抗リン脂質抗体症候群、避妊薬服用)、静脈血管障害(化学療法、ベーチェット病、バージャー病)が挙げられる。診断には、静脈造影、超音波検査、造影CT、MRA(magnetic resonance angiography、核磁気共鳴血管撮影)、血流シンチなどを行い、血栓による静脈閉塞を診断する。治療としては、急性期にはヘパリン、慢性期にはワルファリンといった抗凝固療法を施行する。発症早期であれば、ウロキナーゼなどの血栓溶解療法を施行することもある。また、適切な抗凝固療法を施行しても肺塞栓が再発する際には下大静脈フィルター留置術を施行する。現在では、入院患者を対象として、「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症予防ガイドライン」が策定されており、危険度に応じた積極的予防策(早期離床、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法、低用量ヘパリン投与)による一次予防が提唱されている。

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