心房中隔欠損[症]〈atrial septal defect;ASD〉

心房中隔欠損症は心房中隔に先天的な欠損孔を有し、左房から右房への短絡を生じる疾患である。心房中隔は一次中隔、二次中隔で形成されるが、一次中隔欠損症は三尖弁中隔寄りの欠損孔(図a)で心内膜床欠損症にみられ、二次中隔欠損症は卵円窩中心の欠損孔(図b)で一般に心房中隔欠損症という。その他に部分肺静脈還流異常を合併する静脈洞欠損型(図c)、下位欠損型(図d)もある。左右短絡血流により、右心容量負荷と肺動脈血流量が増大する。肺血流増大が長期間持続すると、肺血管抵抗の増大によって肺高血圧が進行し右心不全を生じる。肺高血圧がさらに進行すると右-左短絡に逆転してチアノーゼをきたす(Eisenmenger症候群)。本症は幼少期には比較的無症状で、成壮年期までの予後も比較的良好であるため、成人にみられる先天性心疾患では最多の35~40%を占めている。

心房中隔欠損の部位別分類

聴診上、胸骨左縁第Ⅱ~Ⅲ肋間に最強点を有する弱い駆出性収縮期雑音とⅡ音の固定性分裂を聴取し、心電図では不完全右脚ブロックを認めるが、左軸偏位を認める場合は一次孔欠損を疑う。心エコーでは右室容量負荷と欠損孔を通じて左房から右房に流入する短絡を認め、右房での酸素飽和度の上昇を認める。至適手術時期は4歳以上から小学校入学前である。新生児期に検出されるごく小さな心房中隔欠損孔はまれに自然閉鎖することもあるが、未治療例は成人になって労作時息切れや心房細動や洞不全症候群、奇異性塞栓による脳梗塞を合併するため、成人例であっても積極的に手術を行う。短絡率が2.0以上が手術適応で、開胸による欠損孔のパッチ閉鎖術または直接閉鎖術を行う。肺血管抵抗が10U/㎡以上では、手術適応がない。

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