QT延長症候群〈long QT syndrome〉

安静時心電図におけるQT時間の延長およびtorsades de pointes(TdP)と呼ばれる多形性心室頻拍や心室細動などの致死性不整脈発作を特徴とする一連の疾患群である。明らかな二次的要因(薬剤や電解質異常)の有無により先天性・後天性に大別される。

先天性QT延長症候群のうち、明らかな遺伝性を伴う例が1950~1960年代に報告され、遺伝様式および先天性聾唖の有無によりRomano-Ward症候群およびJervell & Lange-Nielsen症候群とそれぞれ命名された。その後、イオンチャネル遺伝子異常の関与を示唆する報告が相次ぎ、現在では前者はLQT1-13、後者はJLN1、2の遺伝子型に分類されている。このうちLQT1-3が全体の80~90%を占め、かつ臨床的特徴との関連も多く検討されている。

一方、薬剤(Ⅰa/Ⅲ群抗不整脈薬や三環系抗うつ薬)、血清電解質異常(低K血症、低Mg血症など)、徐脈(房室ブロックや洞機能不全症候群)など除去可能な原因が別に存在する場合には後天性QT延長症候群と診断される。

QT延長症候群の診断にはSchwartzの基準がよく用いられる。心拍数によるQT時間の変動を補正するには先行するRR間隔の平方根または三乗根で除するBazett法またはFridericia法が用いられる。運動時や精神的ストレス時にのみ異常が顕在化する潜在的QT延長症候群の同定、さらに遺伝子型の推定(特にLQT1、2の鑑別)を目的として運動・薬物(イソプロテレノール、エピネフリン)による負荷試験が行われることもある。

先天性QT延長症候群における第1選択はβ遮断薬であり、Ca拮抗薬やα遮断薬が併用される。左星状神経節遮断術、植込み式ペースメーカなどの非薬物療法も考慮対象となる。近年、発作誘発因子や予後が遺伝子型により異なり、遺伝子型に応じた生活指導および治療を行うことが重要視されている。

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