狭心症〈angina[pectoris]〉

狭心症とは、一過性の冠血流不足により生ずる可逆的な心筋虚血を原因として、前胸部痛などの特有な症状をきたす疾患である。胸痛は、典型的には左側胸部の疼痛(圧迫感、絞扼感、灼熱感)であり、放散痛(左肩痛、左上肢しびれ感)を伴うことがあるが、痛みには個人差があり、ときに心窩部痛や咽頭痛、背部痛を訴えることもある。発生の誘因から労作性狭心症と安静狭心症に、経過から安定狭心症と不安定狭心症に、さらに発生機序から粥状硬化による器質性狭心症と冠攣縮による血管攣縮性狭心症に大別される(図)。

狭心症