労作性狭心症〈effort angina[pectoris]〉

冠動脈の器質狭窄病変を基盤(図:狭心症)とし、労作などにより心筋酸素需要が増大するときに狭心痛を発症する疾患であり、相対的な酸素供給不足により心筋虚血が誘発される。胸痛の持続は数分間で、多くは安静により消失する。冠動脈危険因子として糖尿病、高血圧、肥満、高脂血症、喫煙などが挙げられる。本症は、病歴からおおむね診断しうるが、トレッドミル負荷または自転車エルゴメータ負荷による多段階運動負荷心電図検査により診断される。さらに運動負荷タリウム心筋シンチグラフィ、ドブタミン負荷心エコー図法が虚血の検出および虚血部位の診断に有用である。最終的には、冠動脈造影検査などの心臓カテーテル検査が必要となる。

狭心症

薬物療法には、硝酸薬、Ca拮抗薬などの血管拡張薬、および心筋酸素需要の軽減目的でβ遮断薬などが用いられる。薬物治療でコントロール不十分な例では、PTCA(経皮的冠動脈形成術)が施行されるが、問題点として治療後約3ヵ月までの再狭窄(約30~40%)がある。最近、PTCAの補助的治療としてステントが用いられるようになった。ステントはPTCA後の急性冠閉塞に対しきわめて有効であるだけでなく、再狭窄予防にも有効である。ステント留置後の再狭窄率は、新規病変、短い病変、病変前後径3mm以上では10%台と低率であり、複数ステント例や理想的病変以外を含めても30%前後となる。なおステントは金属などでできた体内異物であるため、血栓予防として抗凝固療法を必要とする。その他、DCA(直接的冠動脈拡張術)やロータブレータ、TEA(transluminal extraction atherectomy)などの粥腫切除術がPTCA不適当病変に対して行われる。左冠動脈起始部病変や冠動脈3枝病変にはPTCA治療は危険であり、CABG(冠動脈バイパス手術)が施行される。グラフトの再閉塞率は静脈グラフトの場合、術後10年で50%以上と成績がよくなかったが、動脈グラフトを使用するようになり開存率は高くなった。

労作性狭心症の予後は、1枝病変の場合、薬物療法のみでも良好である。一方、2、3枝病変ではCASS(Randomized Coronary Artery Surgery Study、1991年発表)の報告によると、左室駆出率(EF)50%以上では薬物療法とCABGの予後に有意差は認められず、EF50%未満例ではCABGの効果が明確であった。また、EAST(Emory Angioplasty Versus Surgery Trial、1994年発表)の報告によると、3年目の全死亡率はPTCA7.1%、CABG6.2%と差を認めなかった。また左主幹部病変の3年生存率は薬物療法60%、CABG85%との報告がある。

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