心原性ショック〈cardiac(cardiogenic)shock〉

心ポンプ機能の低下により、全身諸組織における循環不全(安静時における組織代謝需要を満たす血流が供給されない状態)が生じ、低酸素、アシドーシス、毛細血管透過性亢進をきたす重篤な病態を指す。心ポンプ機能不全には、左室収縮不全と拡張不全の両方が関与する。心原性ショックの原因として最も多いのは急性心筋梗塞である。心ポンプ機能の低下により灌流圧が低下し低酸素血症になると、全身および心筋組織の循環不全、低酸素化が生じ、アシドーシス、フリーラジカルの発生、サイトカインの増加、白血球凝集、血管内皮障害、微小循環障害などが生じる。これがさらに心筋収縮性の低下や心筋浮腫を引き起こし、事態を悪化させることになる。したがって、ショックは放置されれば進行し悪循環に陥る。心原性ショックに陥った患者の死亡率は現在でも70~80%に達するとされ、循環器疾患の治療上大きな問題である。心拍出量低下と組織低灌流の所見(乏尿、チアノーゼ、四肢冷感、意識障害など)により本症を疑い、30分以上にわたって収縮期血圧<90mmHgまたは基礎値より30mmHg以上の低下、動静脈血酸素較差(AVO2D)>5.5mL/dL、心係数(CI)<2.2L/min/㎡、または肺動脈楔入圧(PCWP)>15mmHgを満たす場合に診断を確定する。問診、身体所見、心電図、血液生化学、血液ガス、胸部X線、心エコー検査を行い、救命処置を行いながら原因疾患の鑑別を進める。その際には動脈圧モニター、Swan-Ganzカテーテル留置、時間尿の計測が必要である。心原性ショックの初期治療として酸素を投与し、収縮期血圧が<70mmHgなら直ちにドパミンもしくはドブタミン、無効ならノルアドレナリンを投与する。重篤な不整脈がある場合は、直ちに処置を行う。さらに重症のショック例では、IABP(大動脈内バルーンパンピング)やPCPS(経皮的心肺補助装置)が用いられる。これらでも血圧が維持できない場合には、補助人工心臓が用いられる。それらに平行して原疾患に対する治療を行う。

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