心室内伝導障害〈intraventricular conduction disturbance;IVCD〉

心室内伝導障害とは、心室内刺激伝導系における伝導遅延あるいは伝導途絶をいう。心室内刺激伝導系においてヒス束以下は右脚と左脚に分かれ、左脚はさらに前枝と後枝に分かれる。心室内伝導障害の多くは、これらの3枝の障害により生じる。本障害には治療を必要としない単なる脚ブロック例から、心室内伝導系の完全途絶によるAdams-Stokes症候群を起こす例など種々のものがある。このため、必要な検査を適宜行い、重症度を評価する必要がある。

(表)に心室内伝導障害の心電図基準を示す。右脚あるいは左脚が障害されたものを脚ブロックと称し、左脚前枝あるいは後枝の障害を分枝ブロックという。2枝(両脚)ブロックは、右脚ブロックに左脚前枝ブロックあるいは左脚後枝ブロックの両者の心電図所見を示す。完全3枝ブロックでは完全房室ブロックとなり、間欠的3枝ブロックではⅡ度房室ブロックの所見を認める。非特異的心室内伝導障害は、QRS幅が0.12秒以上を示すが右脚ブロックあるいは左脚ブロックの形態を認めないものを指す。右脚ブロックでは基礎疾患を伴わないことも多いが、左脚ブロックでは高血圧、虚血性心疾患、弁膜症、先天性心疾患、心筋症などの基礎疾患を伴うことが多い。基礎疾患があると心室内伝導障害はさらに進展することがあるので、注意が必要である。

心室内伝導障害の心電図の診断基準

脚ブロック、分枝ブロックのみの例では治療の必要はない。基礎疾患を有する場合には、基礎疾患に対する治療を行う。しかし一部の例ではより高度な心室内伝導障害に進展することもあるので、定期的な経過観察が必要である。2枝ブロック例では、症状を認めなければ治療の必要はない。しかし、房室ブロックに進展する可能性があるので十分な経過観察が必要である。一方、徐脈による症状を有する例では一時的に3枝ブロックに移行している可能性があるので、ペースメーカ植込みを考慮する。3枝ブロックにおいては、徐脈による症状を有する例では緊急治療として、①一時的ペーシング、②イソプロテレノール持続静注が行われる。3枝ブロックに対しては硫酸アトロピンは無効である。一般に薬物療法は効果が不安定なため、一時的ペーシングを行ったほうがよい。症状を有する3枝ブロックはペースメーカ植込み術の絶対適応である。急性心筋梗塞、急性心筋炎など急性心疾患に合併する3枝ブロックでは、一時的ペーシングを行う。しかし、3枝ブロックによる完全房室ブロックが持続する場合にはペースメーカ植込み術を行う。

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