急性心筋炎〈acute myocarditis〉

心筋炎は心筋を含んだ炎症性疾患で、大部分はウイルス感染であるが特発性(原因不明)の場合も多い。本症患者の50%は完全に治癒し、40%は慢性心不全などに移行、また10%は死亡するとされる。

臨床症状・所見・経過は症例ごとにさまざまで、無症状のうちに経過し剖検にて心筋炎を認めるものから、心原性ショック、突然死を含む重症の心症状を認め急速に重篤化するものもある。一般に心症状に風邪様症状や消化器症状などが前駆症状または主症状として合併することが多い。心症状としては胸痛、動悸、失神、呼吸困難、浮腫、心原性ショック、チアノーゼなどが認められる。その他、発熱、咳嗽、頭痛、咽頭痛、悪心、嘔吐、腹痛、下痢などがみられることが多い。またほとんどの症例で心電図異常(ST・T波の変化、異常Q波の出現、房室ブロック、脚ブロック、心房細動、上室性・心室性期外収縮、上室性・心室性頻拍など)を示す。血液検査では、急性期に炎症所見(白血球増加、赤沈亢進、CRP上昇)、心筋逸脱酵素(CPK、AST、LDH)の上昇がみられる。心筋逸脱酵素が高値である場合は、一般に炎症・心筋障害の程度が強く重症である。急性期や回復期における血清ウイルス抗体価の4倍以上の上昇は診断に有用であるが、実際の検出率は低い(30%)。その他、心エコーでの左室壁運動異常、ガリウム・テクネシウムピロリン酸を用いたシンチグラフィが診断に有用である。

心筋炎の確定診断は心筋生検・組織診断による。発症2週間以内の早期に、心エコーでの異常部位から採取する。心筋生検で陰性であっても心筋炎が否定されたことにはならず、その他の所見から心筋炎が疑わしい場合には繰り返し心筋生検を行う。心筋生検の典型像では、心筋線維間に好中球や単核球を中心とする炎症細胞が浸潤し、近接する心筋細胞の断裂・融解などの壊死を引き起こす。間質は浮腫状になり、毛細血管の新生像がみられる。

治療は、急性期には厳重な安静が必要で、その後も6ヵ月は運動制限が必要である。房室ブロック、上室性・心室性不整脈については、病状に応じてペースメーカの留置や抗不整脈薬の投与が必要となる。うっ血性心不全には通常の心不全治療を行うが、ジギタリスに対する感受性が亢進しておりその使用には注意が必要である。実験モデルでは、急性期でのACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬の使用が有効とされる。ステロイドの使用には賛否両論があり、急性期2週間のNSAIDとシクロスポリンの併用は心筋ダメージを増強させるので禁忌である。

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