不整脈原(源)性右室心筋症[異形成]〈arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy[dysplasia];ARVC[ARVD]〉

右室心筋細胞の脱落・脂肪浸潤と線維化により右室拡大、右室壁運動低下、および右室起源の心室頻拍を特徴とする心筋疾患である。1980年代以降を中心に疾患症例報告が活発になり、1994年にEuropean Society of Cardiology(ESC)/International Society and Federation of Cardiology(ISFC)task forceにより診断基準が提唱されるとともに、WHO分類にて不整脈原(源)性右室心筋症(ARVC)として分類された。発生頻度は約5,000人に1人程度、30歳前後の発症が多いと報告されているが、正確な発生率は不明である。

成因については、心筋細胞のアポトーシス、心筋の脂肪組織への異常分化、先天的右室心筋の形成異常、心筋炎による右室選択的障害などが考えられているが明らかではない。約30~50%に家族歴があるとされ、すでに12ヵ所の遺伝子座が同定されている。それらのうち、すでに原因遺伝子同定に至ったもののほとんどが、plakoglobinやplakophilin、desmoglein、desmoplakinなど細胞接着に関わるデスモゾーム関連蛋白質である。

臨床所見上は、心電図では特徴的な所見として、ε波と呼ばれる右側胸部誘導にQRS波の直後からST部に小さなnotchとして現れる遅延電位がある。運動中や運動直後に心室頻拍が誘発されることがあり、その際には左脚ブロックを呈する。胸部レントゲンでは心拡大が、心エコー図および心臓カテーテル検査(右室造影)では右室の拡大と右室壁運動の低下、心筋生検では右室心筋細胞の脱落・脂肪浸潤と線維化を認める。CTやMRIを用いて右室自由壁の脂肪変性の診断が可能であるとの報告がある。

治療には心室頻拍、右心不全の対応が主となる。心室頻拍には抗不整脈薬の投与、カテーテル・アブレーション、植込み型除細動器を組み合わせて行う。右心不全には利尿薬などの投薬によりコントロールを行う。予後については不明な点も多く、突然死の頻度が多いという報告と少ないという報告がある。

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