Fabry病〈Fabry's disease〉

Fabry病はリソソーム酵素であるα-galactosidaseの活性の低下もしくは欠損により生じる、X連鎖性遺伝性の糖脂質代謝異常症である。ヘミ接合体の男性に発症するのみならず、ヘテロ接合体の女性でも発症することがあり、ときに重症化する。α-galactosidase活性の低下や欠損により、全身の臓器、特に皮膚、腎、神経、眼、心臓にglycosphingolipidが蓄積する古典的Fabry病と、全身所見を欠き臓器特異的な症状を中心とする亜型(心Fabry病、腎Fabry病)の2つに分類できる。古典的Fabry病の全身症状には、被角血管腫、四肢末端痛、低汗症、角膜混濁、腎機能障害、心病変がある。心病変所見として、右室肥大を伴った左室肥大、刺激伝導障害を原因とする徐脈性不整脈、心筋収縮能、拡張能の低下がある。さらに、冠動脈や弁膜、心内膜にglycosphingolipidが蓄積することによって生じる虚血性心疾患や弁膜症(閉鎖不全症)がある。診断には、臨床症状、α-galactosidase活性、皮膚小血管、汗腺、腎臓、神経、もしくは心筋の電顕病理検査により、細胞のリソソーム内にFabry病に特徴的形態を呈する蓄積物の同定、α-galactosidase遺伝子異常の同定が用いられる。男性ではα-galactosidase活性が正常の10%以下に低下している場合Fabry病と診断される。補助診断には血中・尿中globotriaosylceramide(GL-3)の測定や遺伝子検査が行われる。ヘテロ接合体が疑われる女性の場合は遺伝子検査が必要である。循環器領域では特に心肥大を生じる疾患として認識されており、二次性心筋症の1つとして分類されている。心エコーなどで肥大型心筋症と診断された症例の中に心Fabry病が含まれているとの報告もあるため、α-galactosidase活性測定による鑑別診断を行う必要がある。治療には酵素補充療法が行われる。一般的には16歳以上の男性であれば診断時点、それ以外は症状が1つでも出現すれば開始が望ましいと考えられる。心Fabry病については、酵素補充療法による左室肥大の改善や刺激伝導障害の改善、左室機能障害の改善などが報告されている。

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