急性心不全〈acute heart failure〉

急性心筋梗塞や急性心筋炎、不整脈、急性心筋梗塞後の心室中隔穿孔、自由壁破裂による心タンポナーデ、乳頭筋や腱索が断裂した急性僧帽弁閉鎖不全などの急性のポンプ機能の低下に対し、代償機序が破綻した状態を指す。急性心不全に陥ると呼吸困難(表)、頸静脈怒張、チアノーゼ、冷汗がみられる。心音では、Ⅲ音を聴取し奔馬調律を呈することがある。肺うっ血が強い場合には、肺野にラ音が聴取される。胸部X線写真上では、肺静脈の拡張、肺門陰影の増強、肺うっ血、Kerley's B-line、胸水などが認められる。心エコーでは、壁運動異常、心腔の拡大、心嚢液貯留を認める。

急性心不全時の呼吸困難

予後は重篤であることが多く、迅速な病態・原因の把握と同時に適切な治療が行われないと、血圧低下、意識障害をきたし死亡する。急性心不全の原因が除去可能なものについては、それに対する治療が最も重要である。本症の治療は、まず安静とし起坐位をとらせ、動脈血酸素飽和度95%以上、または動脈血酸素分圧(PaO2)60mmHg以上を目標とし酸素吸入を開始する。PaO2が維持できない場合には人工呼吸を開始する。利尿薬、血管拡張薬、強心薬が治療薬として用いられる。Swan-Ganzカテーテルを挿入し、心係数、肺動脈楔入圧を求め、Forrester分類に準じて治療を行う。Forrester分類Ⅱ型では利尿薬、ニトログリセリン、PDE(ホスホジエステラーゼ)阻害薬を使用、Forrester分類Ⅲ型では補液、さらにカテコラミンを追加する。Forrester分類Ⅳ型ではカテコラミンと利尿薬、血管拡張薬を併用する。ドパミン、ドブタミンが無効ならノルアドレナリンを追加する。薬物療法のみでは血行動態の改善が得られないときや強心薬の持続点滴からの離脱が困難な場合、機械的補助循環としてIABP(大動脈内バルーンパンピング)やPCPS(経皮的心肺補助装置)が使用される。それでも改善しない場合、左室補助装置(left ventricular assist systems;LAVS)など補助人工心臓を装着する。利尿薬などの薬物療法のみでは過剰な体内水分貯留を是正できない場合、除水目的でECUM(体外限外濾過法)を行う。

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