部分もしくは全乳頭筋断裂の頻度はまれであるが、しばしば致命的な合併症である。下壁梗塞の場合は後乳頭筋断裂を生じ、前壁梗塞の場合は前乳頭筋断裂を生じる。前乳頭筋は前下行枝および対角枝の二重支配を受けているのに対して、後乳頭筋は後下行枝のみに支配されているため、後乳頭筋断裂の頻度は前乳頭筋断裂の3~6倍に達する。大梗塞に生じやすい心室中隔穿孔に比し、比較的小梗塞に生じやすい。
突然に生じる汎収縮期雑音と心不全にて発見され、心エコードプラ法にて乳頭筋断裂による僧帽弁閉鎖不全症を確認することで診断される。治療はIABP(大動脈内バルーンパンピング)やカテコラミン投与にて血行動態を安定させた後に、早期の手術が必要である。