IgG4関連心膜炎

本邦より初めて報告されたIgG4関連疾患のうち、心膜が標的となったものである。IgG4関連疾患は全身諸臓器の腫大や結節・肥厚性病変などを認める原因不明の疾患である。罹患臓器としては膵臓、胆管、涙腺・唾液腺、中枢神経系、甲状腺、肺、肝臓、消化管、腎臓、前立腺、後腹膜、動脈、リンパ節、皮膚、乳腺などが知られており、心膜病変の報告例は世界的にも珍しく、詳しい有病率などは不明である。

各種自己抗体の存在、血清IgG4高値、標的臓器におけるIgG4陽性形質細胞浸潤、ステロイド反応性良好などより自己免疫疾患と考えられているが、原因は不明である。

他臓器障害由来の症状の精査時に心嚢液貯留がみつかった例、呼吸困難などの心不全症状を呈した例、心タンポナーデまで進行し、死亡した例が報告されている。

本疾患に特化した診断基準はないが、原因不明の心嚢液貯留を診た場合は本疾患の可能性を念頭において、心膜以外の標的臓器において「2020年 改訂 IgG4関連疾患包括診断基準」を満たすか否かを検討する。血清IgG4値または心嚢液中のIgG4高値の上昇は本疾患を疑うきっかけとなる。侵襲は大きいが、可能であれば心膜病理組織診断も検討する。

ステロイド投与が第一選択薬であり、比較的高用量で導入し、その後維持療法を行う。心タンポナーデをきたした場合は心嚢ドレナージが、収縮性心膜炎を呈する場合は心膜切開が必要となる。多くの例でステロイド治療が奏効する。ただ治療期間については一定の見解はなく注意深い経過観察が必要である。急性に経過するものは心タンポナーデをきたすため迅速な対応が必要となる。