心筋エネルギー代謝〈myocardial energy production〉

心筋のエネルギーは主に好気的代謝で産生され、酸素供給が不十分な場合でも嫌気的代謝でエネルギー代謝が維持されることはなく、容易に虚血状態に陥る。心筋酸素需要は主に心拍数や後負荷などにより決定されるが、安静時においても血液から最大限の酸素摂取が行われているため、酸素需要の増大には冠動脈血流の増加によって対応する必要がある。したがって、冠動脈に病変が存在し冠血流量が十分に増加しないとき、心筋はエネルギー代謝に必要な酸素を得ることができず虚血に陥る。

好気的代謝では、エネルギーの60%以上が長鎖脂肪酸の酸化によって産生されている。しかしながら、虚血状態では脂肪酸の酸化が抑えられ、糖代謝が活発となる。したがって、心筋の脂肪酸取り込みを調べることにより心筋虚血を代謝面から診断でき、123Iでラベルされたβ-methyl-P-iodophenyl-pentadecanoic acid(BMIPP)がトレーサとして多用されている。糖代謝の状況は18F-deoxyglucose(FDG)や11C-Acetateなどを用いたpositron emission tomography(PET)imagingにより検査することができ、虚血に陥った領域にどの程度の代謝活動が残存しているかなどを評価できる。