心筋のイオンチャネル〈ion channel〉

細胞膜にはイオンを通す小さな穴があり、これをイオンチャネルと呼ぶ。それぞれのイオンは特定のチャネルを通過し、膜を介する一連の内向きと外向きのイオン電流の変化により静止電位および活動電位を調節している。イオンチャネルにはNa+、K+、Ca2+、Cl-、Mg2+などに対するチャネルが存在し、これらのチャネルを通るイオンおよび電流の流れは細胞内外のイオン勾配により決定されている。たとえばK+は細胞内に高濃度に存在することから、K+チャネルは細胞の内向きの電流を主に調節し、Na+は細胞外に高濃度に存在することから、Na+チャネルは外向きの電流を主に調節しているのである。さらにチャネルの開放と閉鎖には電位の閾値が存在する。たとえばNa+チャネルの開放の閾値は約-60~-70mVであり、閉鎖の閾値は-30mVである。すなわちこれらの浅い電位でNa+チャネルは開放し、外向きの電流により細胞膜の脱分極を促し脱分極終了後に閉鎖する。

活動電位の発生に関しては、Na+チャネルおよびCa2+チャネルが強く関係している。Na+チャネルは、生理的には主に心房や心室筋の活動電位の立ち上がり相に関与している。Ca2+チャネルには2種類が存在し、1つは深い膜電位で活性化され自動能に関与するT型チャネルであり、もう1つはより浅い膜電位で活性化され心筋活動電位のプラトー相(第2相)の形成に関与するL型チャネルである。Ca2+はさらに収縮連関にも関係し、細胞内の濃度の上昇は心筋収縮力の増加とつながる。特に、洞結節や房室結節などの一部の刺激伝導系細胞では、活動電位の立ち上がり相の主体は前記のNa+ではなく、主にCa電流によりもたらされている。Ca電流の速度は、Na電流の10分の1またはそれ以下であるため、電流の流れる時間経過も緩やかである。