実践!心電図ポイント解説

実践!心電図ポイント解説【問8-解説】57歳男性

問題8

57歳男性。5年前より近医にて高血圧を指摘され内服薬で治療されていた。
喫煙は20本/日、37年間。安静時は特に自覚症状を認めないが、1年前より労作時に胸部圧迫感を自覚していた。
心臓超音波検査では機能や形態に特記すべき異常なし。
運動負荷(トレッドミル)試験(Bruce法)では、胸部症状とともに心電図に変化を認めた。
その際の症状は、日常的に感じている労作時胸痛発作と同様であった。
運動負荷試験時の12誘導心電図を示す。

心電図画像(クリックで拡大)

福岡大学医学部 臨床検査医学 主任教授 福岡大学病院 副病院長 小川正浩先生ご提示

正しいのはどれか?

  • a.無症候性心筋虚血
  • b.急性心筋梗塞
  • c.労作性狭心症
  • d.安静時狭心症
  • e.急性心膜炎
解答

c. 労作性狭心症

解説
運動負荷試験で労作による胸痛と心電図変化を認め、労作性狭心症と診断した。
運動負荷(トレッドミル)試験(Bruce法)では、負荷5分過ぎに胸部不快感とともに、V5,6誘導で水平型ST低下を認め負荷中止した。
負荷停止後1分の回復早期には、下壁誘導(Ⅱ,Ⅲ, aVF)とV6誘導でST上昇、Ⅰ,aVL,V2から4誘導でST低下(reciprocal change)を認め、下壁領域の貫壁性心筋虚血が誘発されたが、安静のみでほどなくして胸痛は消失しST上昇は速やかに減弱した。
負荷停止後6分にはST変化はほとんど基線に戻った。
後日、冠動脈造影にて右冠動脈Seg2に90%有意狭窄が同定され、同部位に対してPCIが施行された。
運動負荷試験中の経過から、右冠動脈の有意狭窄のみならず、運動誘発性冠攣縮の関与も勘案されるため、カルシウム拮抗薬内服を追加し、その後は自覚症状の改善とともに経過良好である。
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